院長ブログ

2018年7月12日 歯科医院とAEDの秘密の関係

自動体外式除細動器がAEDの名前で世間に広まったのは、比較的最近のことです。心臓が痙攣によって血液を流すポンプとしての機能を喪失してしまった状態を心室細動と呼びますが、その状態になった心臓に電気ショックを与えることによって、失いつつあった機能を取り戻すことが期待できます。


2004年からは医療従事者に限らず一般の人でも使用できるようになり、現在では病院や救急車内は言うまでもなく空港や学校、公共施設といった人がたくさん集まるところに設置されています。


さて、そんなAEDですが、最近では歯科医院に設置されることも目立つようになり、常備しているということをうたい文句にしている歯科クリニックも少なくはありません。一見、歯科治療とこの装置は何の関係もないように思われますが、実はそんなことはなく、過去においては歯科治療の最中に心臓麻痺等で命を落としている患者さんも非常に稀なことではありますが、存在しているのは事実です(もちろん当院ではありません)。


歯の治療を行う際には頻繁に局部麻酔が使用されますが、その中には血管収縮剤としてアドレナリンが添加されているということはご存知でしょうか。このアドレナリンの一部は血管に溶けて心臓に作用を及ぼします。歯科治療の際に心臓がドキドキするのは、何も緊張や治療に対する不安からだけでなくこの麻酔に注入されているアドレナリンが脈や血圧を上げているためだということができます。


そのため、元々心臓が弱い人や持病を持っている人にとっては局部麻酔を行うことによって普段よりも心臓に負担がかかってしまいます。そしてそのことが重篤な事故につながらないとも限りません。もちろん、通常は心臓に持病を持っている人は事前にその旨を歯科医師に伝えているはずではありますが、
万が一の危険の回避のために、歯科医院でもAEDを常備しているところが増えているという訳です。


もしも何かのショックで、患者さんに突然心停止が起こってしまったら、命が救われるのは時間との闘いとなります。一般的に救急車が事故現場に到着するまでは、平均およそ8分30秒ほどかかるというデータがありますが、それでは間に合わないというのが事実なのではないでしょうか。心肺蘇生は1分過ぎるごとに10パ-セントも救命率が下がり、5分を過ぎると蘇生は大変困難になります。


歯科治療においてAEDが必要になるということは極めて稀であると言っても良いですが、備えあれば憂いなしという言葉があるように、万全の対策を採って歯科治療に励むクリニックは今後も増えてくることで、患者さんは安心して治療に臨めるのではないでしょうか。

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