院長ブログ

2019年12月 3日 歯内療法 知っておこう! 歯の根の治療の基礎知識

歯の根の治療の基礎知識

人間の歯の表面にはエナメル質があって、その下が象牙質で覆われています。この象牙質の内側には「歯髄」と呼ばれる部分があって、歯の成長や発育に関わる重要な役割を果たしていますが、成長した大人の場合は根の周囲から栄養補給が出来るので、歯髄がなくても維持出来るようになります。

なお、この歯髄には神経や血管などが通っていて、ここからさらに下に向かって伸びている管が「根菅」です。虫を食った部分がひどくなったり、亀裂が入ったりすると内部の神経が炎症を起こしたり、根の先に悪い症状が現れます。

炎症や感染を長い間放置していると、痛みが激しくなるだけでなく、周辺に出来た炎症がさらに広がったり腫れを起こしてしまいます。健康で正常な状態なら、ピンク色あるいは淡赤色をしているので、怪しい場合は鏡で確認してみることをおすすめします。

さらに、リンパ節が腫れたり発熱したりして身体全体への悪影響を及ぼす可能性もあります。このような場合に行う治療が「根菅治療(歯内療法)」で、痛みを取り除いて症状をおさえるだけでなく、再発も防げるようにします。

ただし、内部にある神経は細かい上に複雑な形状をしていて治療がとても困難なため、成功に導くためには正確かつ的確な判断力と生物学的根拠に基づく治療を行える医師が不可欠です。また、根管治療では、痛んでしまった歯髄を取り除いて根管をきれいに清掃し、再び感染するのを防ぐために詰め物を入れる処置を施す「抜髄」を行う場合もあります。

これに対し、すでに根管治療された部分が再び感染してしまった場合でも根管治療が行われますが、これは「感染根管治療」と呼ばれています。なお、根管治療は、歯を残していくために必要不可欠な「基礎工事」と例えることも出来ます。

つまり、家やビルなどの基礎工事と同じことです。この基礎工事の手始めとしては、虫を食ってしまった箇所を削り取って、歯髄が見えるまで穴を開けます。そして、悪い菌が入り込んで形が変わってしまった部分を除去して、神経の通っている穴とそれにつながる管の壁を少しずつ削りながら全体を丁寧に清掃します。

管の数や形状は状況によってそれぞれ異なるため、作業は困難になります。元々口の中は狭い上に、直接見て確認出来ない状態での細かい作業となります。場合によっては数10ミクロンほどの細かさなので、医師の技術が問われます。そのため、根管治療は数ある治療の中でも難度の高い部類に入ります。

内部の清掃が終了すると、その空間を埋めるように無害な材料で満たして、治療で開けた穴も金属などで塞いでしっかりと補強します。これで、歯を健康に保ち、機能するための基礎工事が完了します。昔の治療法では、悪い歯をすぐに抜いてしまう傾向がありましたが、現在では出来るだけ抜かないように治療することが主流となっています。

抜かないことで、身体全体の健康にもつながるため、患者さんと医師の両者が高い意識を持って維持していくべきでしょう。

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